新原理・新発想微細加工技術

薄膜金属ガラスの微細加工法

薄膜金属ガラスは,ガラス転移温度以上,結晶化開始温度以下の過冷却液体域と呼ばれる温度領域で軟化し,自重やバイメタル効果,ガス圧などでプラスチックのように変形します.この特性を利用して成膜時の内部応力を緩和しMEMS構造で利用される真直な片持はり構造や,軟化を利用した変形や,弾性変形の応力緩和による曲りはりやねじりはりを実現しています.

過冷却液体域を利用した微細加工

薄膜金属ガラスの過冷却液体を利用することで,様々なMEMS構造を実現できます.

    1. 焼きなまし法:薄膜は一般に成膜時に内部応力を生じ,そのまま片持はりなど,一部が基板から自立している構造とすると,その内部応力によりたわみや破壊を生じます.焼きなまし法では,薄膜金属ガラスの微細構造体を基板上で過冷却液体域まで加熱することで,この内部応力を除去し,真直なMEMS構造を実現します.
    2. 加熱変形法:過冷却液体域で軟化した薄膜金属ガラスのMEMS構造体を変形させることで,通常の金属の塑性変形では実現困難な大変形した立体構造体を実現します.
    3. 変形加熱法:薄膜金属ガラスの高い弾性を利用して大変形させた構造体を,過冷却液体域に加熱することで,構造体の弾性応力を緩和し精度の高い立体構造体を実現します.

焼きなまし法による平面構造

薄膜金属ガラスの過冷却液体域を利用することで,従来の多結晶シリコン材料に比べ,低温,短時間で薄膜の内部応力を緩和し,真直なMEMS構造を実現できます.

加熱変形法による立体的MEMS構造

      • バイメタルを用いた微細成形法

 

      • マイクロブロー成形による微細中空構造

      • レーザ加熱による局所まがりはり

変形加熱法による立体的MEMS構造

      • ジグ成形による精密曲りはり

      • レーザ局所加熱によるねじりはり

共同研究体制

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